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オススメ ITEM

親不知~北アルプス~中央アルプス 7日間で縦走 その②

後半戦、槍ヶ岳~駒ケ根駅の記録です。

前半はこちら。

槍ヶ岳山荘〜沢渡

槍ヶ岳では結露でびしょ濡れのストックシェルターでもしっかり眠ることができたようで、他の人が出発準備で立てる音で目が覚めました。暗闇のなか出発準備を整え、重い体を引きずって4:20に出発。しばらくして日が出てきて体が温まってくると、やっとやる気が出てきました。

南岳小屋でカップラーメンと手作りドーナッツを堪能して、いざ大キレットへ。不帰キレット、八峰キレットと越えてきましたが大キレットが一番技術的に難しく感じました。穂高岳山荘でカレーを食べて、北アルプスの技術的核心部である、奥穂高~西穂高岳の通過に入ります。南岳小屋とキレットを望む写真です。

午後から天気が悪くなるという予報だったので、集中力を最大限まで引き上げて素早く下降しました。途中オコジョに出会うことができました。難ルートという前評判に偽りなく、気を抜けない危険個所の連続でした。鎖や足場も多く設置されていますが、岩登りの経験がない人にはかなり難しく感じるでしょう。この写真もよく見るとルートを示す矢印があります。16:00に西穂高山荘に到着し食糧を補給し、上高地に下ります。

このあたりから下りで膝に痛みが出てくるようになり、苦肉の策として後ろ向きに歩いて下りる事が多かったです。途中で帝国ホテルの赤い屋根が見えてくると、本当に日本海から自分の足でここまで歩いてくることができたのかと感動しました。上高地からは沢渡を目指してトボトボ車道を歩いていきます。夜間ということもあり交通量は少ないですが、トンネルではトラックが通り過ぎると、風圧が凄くて結構怖かったです。時折通るトラックに怯えながら、寂しく夜道を歩いていると「頑張れー!」といきなり声が聞こえ、誰かと思えばタクシーの運転手が通り過ぎる時にかけてくれたものでした。あまりに突然のことだったので、すぐに反応できなかったですが、じわじわと嬉しさがこみ上げてきて涙が出そうになりました、いや、ちょっと出てかもしれません。「サプライズ応援」のおかげで元気をもらってなんとか沢渡にたどり着き、西穂山荘で買ったパンを食べて22:00就寝。

沢渡〜木曽駒ヶ岳福島Bコース

4:00出発で木曽駒ケ岳を目指します。ひたすら車道を歩いて薮原駅まで、途中のスーパーで久しぶりにまともな食事を食べ大補給します。山と違って、死ぬ危険性が低い下界では精神的にはかなり楽ですが、30℃と暑くつらかったです。途中のコンビニで食糧を補給しつつ、19:30に木曽駒ケ岳福島Bコース4合目で行動を終了しベンチで仮眠しました。

 

木曽駒ヶ岳福島Bコース〜駒ヶ根駅

いよいよ本日は最終日。木曽駒ケ岳~空木岳と縦走し駒ケ根駅を目指します。朝起きると膝の痛みが悪化しており、登りでも痛みを感じるようになっていました。しかし、ここまできたら多少無理をしても計画を完遂したいと思い、最後の手段として痛み止めを服用しました。痛み止めのおかげでなんとか行動できるようになったので、駒ケ根駅を目指すことにします。木曽駒ケ岳~檜尾岳までは登山道も広く歩きやすくて気持ちがいいです。木曽殿小屋から急坂を一気に空木岳まで登ったら、後は下るだけ!

引き続き膝には極力負担を掛けないように、後ろ向き歩きを駆使しながら下りました。やっとのことで車道に出て、コンビニに寄りつつ19:20駒ヶ根駅に到着して無事山行を終えました。自分でも驚いたのですが、意外と感動はしませんでした。時間切れで東京に帰るための手段がなかったからかもしれません…。中央アルプスを振り返るとすでに雲に覆われていました。

 

使用したギアたち

ストックシェルターとセットで使用した、ヘリテイジのULトレイルポールのご紹介です。
今回の山行でもロードとキレットなどの危険個所以外のほとんどで使用しました。
このストックはトレイルランニング用ポールとして販売されており、下りで体重をしっかりかけるような使い方には適していません。

ヘリテイジ ULトレイルポール

長さは110cmを使用しました。なんといっても軽さと、予備ポールやリペアパイプを準備しておけば、折れてしまっても現場で修理できることが魅力です。

ストックシェルターの設営にはストックが必要ですから、ストックが折れてしまった時用にテントポール用のリペアパイプを2個持っていきました(折れることはありませんでした)。
たまたま持っていたテントポールの余りが、ストックと同じ径だったので長さを調整して下から2段目に入れたのですが、少し剛性感がアップして意外と良かったです。
かれこれ、このストックを2年くらい冬山を含む様々な山行で使用しており、3、4回はポールを折ったり曲げたりして交換しています。
でもそれはストックの強度が低いのではなく、使用者に問題があったのだと思います。今回の山行で特にそのことを感じました。

今回ポールを折ることことがなかったのも、自分がやっとこのストックを使いこなせるようになったからだと感じました。
ULストックやストックシェルターなどのちょっと特徴のある道具は、使いこなせるように自分を成長させていく必要があり、いざ使いこなせるようになると、その道具の真価がその時はじめて実感できるのだと思います。必要以上に道具に頼らずにいられるように、自分を成長させる。ともいえるかもしれません。
そこに至るまでの過程もまた楽しめると最高ですね。
※テントポールを使用することは、れっきとした改造であり強度や使用年数など保障は一切ありません。メーカーはもちろん私も一切の責任を負いかねます。もし試される場合は自己責任でお願いします。

軽量ストックを何度も折ってしまったり曲げたりしてしまっている人向けに、今回私が試してみて良かった対策を載せておきますので、よろしければお試しください。
今まで使用していてポールが折れたり、曲がったりする原因の8割は、不意にバランスを崩してストックに過度に加重がかかってしまった場合でした。

そこで今回は、ストラップに手首を通すことをほとんどしませんでした。
ストラップに手首を通すと「しっかり握れてしまう」のでストックが折れるくらい加重してしまうと考えたからです。ストラップを使用せずグリップを握っているだけでは、過度に加重がかかる前にストックがすっぽ抜ける可能性が高いので折れる可能性は減ります。

この考えをさらに発展させて、かなりの確率で不意に加重がかかってしまうかも(ぬかるんだ泥道の急な下りを疲れた状態で暗い中通過する時など)という時は、グリップのさらに下のポール部分を持って使用してました。 これならいくら強く握っても、たいした加重はかけれないので安心です。
そういった場所ではそもそも使用しないという判断も有りだと思います。しかしそういった箇所でこそ、少しでもいいから支えがあった方が素早く通過できるのものです。

次回は番外編として「私もこんなことがやってみたいと!」という方たち向けに、今回使用した他の装備の紹介と、行動時間や睡眠時間などを紹介したいと思います。あらためて行動時間などを見てみると、自分でも驚くような意外な結果が判明しました。お楽しみに!

本店 西出

おまけ編