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滝谷C沢 グレポン・ルンゼルート(2025/4/23.24)

滝谷C沢の第三尾根を登攀する予定で入山しましたが、取り付きを間違えてしまい、グレポン・ルンゼルートを登ることになりました。情報無しで登ることになったルートでしたが、弱点をついたナチュラルなルートで、天気も良かったこともあり楽しんで登ることができました。登攀パートは3ピッチと短かめで、取り付きやすいと思います。近年登られている記録もあまりないと思うのでご紹介いたします。

天気予報通りの雨が降る中、滝谷避難小屋をの目指してのんびり昼過ぎに出発。

前日から降り続く雨の影響で。白出沢は増水しており、ドボンしないように気を使う必要がありました。

渡渉した5分後に小規模な土石流が発生しヒヤッとしました。次の日の下山する頃には、1滴の水も流れおらず本当に同じ場所なのかと驚きました。

幸い小雨なのでびしょ濡れにはならずに滝谷避難小屋に到着。小屋は綺麗でとにかく快適でした。水は近くで汲むことができました。

遠くに見える雄滝は轟々と水が流れており威圧感があります。明日の晴天を願いながら就寝。夜には雨が止んで星空が見えました。

4:30出発。午後から快晴の予報なので、気持ちよく出発。デブリはほとんど落ちきっているので安心。2週間前に滝谷を訪れた人の話では、雄滝は左岸に雪がぎりぎり繋がっていたので簡単に越えることができたとのことだったが、今回は右岸から高巻くことにします。

30mほどロープを出して突破。上部のルンゼは氷が繋がっていたので、そこを快適に登る。朝イチのリードは動きもぎこちなく、少し時間がかかってしまいました。

ここから先はひたすら雪渓を登っていきます。滑滝も1箇所クレバスがありましたが、なんとか雪を繋いで越えることができました。滝谷登攀で快適に雪渓を詰めていける時期としては、今回がぎりぎりだったと感じました。

A~F沢の合流点に来る頃には、晴れ間も見えC沢の入口もはっきりと分かりました。

C沢を詰めていきます。だんだんと傾斜が強くなってくる。

第三尾根取り付き付近。奥に進んでいくとC沢奥壁があります。

事前に収集した情報では第三尾根にはニセガリーなるものがあり、取り付きを間違えてしまうと苦戦しそうでした。結果、ニセガリーを意識しすぎるあまり、正解のガリーをニセガリーだと勘違いしてしまい、まったく違うルートを登ることになってしまいました。この写真が正解のガリーだと思われます。

下山後に今回登ったルートを調べたところ、どうやらグレポン・ルンゼルートだろうということがわかりました。写真右端のルンゼから取り付きました。

9:30登攀開始。

1p目40m Ⅲ+。グレポン左の赤茶けた岩のルンゼを登ります。所々氷が張っていました。

2p目40m Ⅳ級。上部を目指して弱点を突いて登っていきます。部分的に傾斜があり岩も脆い箇所があります。このあたりで自分達が登ってるのは第三尾根ではないというという確信がありました。しかしどこを登っているのかもわからない状況で、先行き不透明だったのでドキドキしながらの登攀でした。

2p目をフォローする西出。

3p目35m。Ⅳ級。まずは傾斜のある岩を乗り越えていきます。天気が良くて薄いグローブまたは素手で登れるので快適でした。

上部はますっぐ進むと傾斜があり難しそうに感じたので、途中で右側のガリーに移ります。

岩の隙間に体を半身ほど入れながら、ずりずり登っていき平らなテラスにでます。3p目をフォローする前田。

全ピッチを通して残置支点を見つけることはありませんでした。ハーケンやカム、ナッツが大活躍でした。ハーケン2枚で作成した3p目終了点。

3p目終了点から先を見渡すと正面には傾斜のある岩壁があり、登れなくはなさそうだが我々の実力では苦戦すること必至だと判断。とりあえす左側にルンゼっぽい地形がありそうだったので、そちらに進んでみます。もし登攀が難しそうなら敗退も視野に入ってきます。

回り込んだところは傾斜の緩い雪のルンゼが上部まで続いていそうで、やっと稜線まで出れそうな見当がつき、ほっと一安心することができました。4p目40m Ⅱ~Ⅲ級

ここから上部はひたすら雪のルンゼをコンテで登っていきます。

うっかり雪のルンゼを登りすぎてしまい、ドームの頭付近まで登ってしまいました。

100mほど下降するはめになりましたが、15:30に無事稜線の夏道にでることができました。

天気もいいので北穂に向かいます。

松濤岩付近の雪壁をクライムダウン。傾斜があり緊張します。

松濤岩を越えれば山頂はすぐそこ!

16:30無事山頂に到着。GWの営業に向け小屋番の方達が作業をしていました。

北穂からB沢の入口までの雪壁の下降が精神的に疲れました。標高差100mほどをひたすらクライムダウン。写真だと伝わらないですが、高度感もありなかなか緊張します。

B沢は雪も緩んでいて、北穂からの下りに比べたら、すこぶる快適でした。雄滝は30m懸垂で取り付きへ。滝谷避難小屋で暖かいお茶を飲み、泊まりたい衝動をグッとこらえて林道を歩いて下山。駐車場到着は23時になってしまいましたが充実の山行になりました。

前情報なしでグレポンルンゼルートを登ることになりましたが、登攀は実質3pでグレードも難しすぎないので、取り付きやすいルートだと感じました。残置支点もなくワイルドな登攀が楽しめます。今回は素手でも登れるような、良いコンディションだったので楽しんで登れましたが、コンデションが悪ければ奮闘的なクライミングになるかもしれません。

今回の山行ではERのプリズマを使用しました。軽量コンパクトでムーブを妨げることのないこのハーネスは、ハーネスの着用時間が長い今回のような山行でも歩行時のストレスが少なくおすすめです!詳細はこちらからご覧いただけます。

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