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赤岳ショルダーリッジ右ルート
3月16日に「赤岳ショルダーリッジ右ルート」に行ってきました。人気ルートの赤岳主稜のすぐ隣にありながら、登攀したことある人は意外と少ないと思われます。今年は暖冬で雪も少ないから3月中旬にもなればもう春山だ♪ぐらいの軽い気持ちで行ったのですが、当日の天候はまさかの吹雪で、寒さに震えながら登攀になりました。
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北沢に入り行者小屋へ向かう途中はこんな感じでした。数日前にまとまった降雪があったのでしょうか。八ヶ岳は雪に覆われていました。
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行者小屋で身支度を整え文三郎尾根を登ります。文三郎尾根上の雪は思ってたより多く、膝下のラッセルでした。
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写真中央のリッジが「赤岳ショルダーリッジ右ルート」です。
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適当なところで文三郎尾根を外れてトラバース。
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赤岳主稜の取り付き付近まで行きそこから急斜面を下り、主稜の末端を乗り越えて回り込み、また急斜面を少し登り返して取り付きに到着です。雪の状態次第では雪崩に要注意です。
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この時はまだ視界があったので、迷わず取り付けましたが初見で視界不良だと迷うかもしれません。正面の壁が取り付きです。下から赤岳沢を詰めて取り付いている記録もありました。
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1p目25m。傾斜のある凹角をダブルアックスで登ります。ルート途中にハンガーボルトが2本ありましたが、他の支点はカムでとりました。天気も悪くなり始め、冷たくなった手の痛さと闘いながらの奮闘的なクライミングになりました。このピッチが核心です。中山尾根よりはワンランク上の難しさに感じました。
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2p目50m。登り始めの5mだけ壁を登って雪稜を進む。このあたりから本格的に天候は悪化し始めました。
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3p目45m。傾斜の緩い岩壁を登ります。三級程度ですが支点が取りにくいので、落ちれません。
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4p目45m。傾斜はないですが残置支点もないです。天気が良ければ快適なクライミングになりそうなところですが、この時は寒くて、早く登攀を終わらせたい一心で登りました。
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雪が吹き上がって来るので、顔面は雪まみれでまつ毛は凍りつきました。
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5p目50m。岩稜から雪稜。6p目からはコンテで岩稜を100mくらい進んで縦走路にでました。1p目こそハンガーボルトがありましたがそれ以降はたまに残置ハーケンがあるくらいで、残置支点をあてにしたクライミングはできません。各ピッチ毎の終了点もカムでとったり、ボディビレイしたり、岩角にスリングを引っ掛けたりして取りました。単純な登攀力はもちろんのこと、それ以外の状況判断力も求められる好ルートに感じました。岩の要素が多く楽しかったです。天気がいい日にまた来たいですね!
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登攀終了後は赤岳山頂を目指します。
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ちょっと休憩して山頂を後にします。相変わらず寒くて風は強いです。阿弥陀岳方面との分岐付近では目も開けられないほどの強風でした。途中に風が弱まるのを待ったりして、苦労して行者小屋まで戻りました。まるで厳冬期に登ったような、疲れが残り充実の1日となりました。
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今回はノースフェイスの新素材フューチャーライト使用したL5 Jacket &L5 Pant を使用してきました。今回感じた特徴の1つは圧倒的なしなやかさです。冬用アウターにありがちなパリパリ感やシャカシャカ感は一切ありません。すごく動きやすく着続けていてもストレスもありません。そして従来の防水透湿素材と違い、水は通さずに通気するフューチャーライトは熱がこもりにくいです。アンダーウェアから蒸発した汗がアウターに内側に結露してアウターがバリバリになることを経験したことがある人も多いと思います。今回はそのようなことはまったくなく終始快適でした。来シーズンオーバージャケット&パンツの購入を検討している人は、購入候補に入れる価値がありますよ!※カモシカスポーツでの今シーズンの販売は終了していますが、2020年秋冬から販売スタートを予定しております!
本店 西出