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行動報告-登山
大無間山アイキャッチ

大無間山 朝日岳・風イラズ周回

行動報告-登山

六月の初旬に本店西出と横浜店藤井のニ名で、南アルプスの深南部の大無間山へ朝日岳~大無間山~風イラズ~栗代山の周回コースで行ってきました。

北アルプス、南アルプスなどの比較的人が多い山域を一通り歩いたあとには、訪れる人が少なく山深い南アルプス深南部に自然と心惹かれてしまうものです。

山行中に一度も人に出会うことはなく、踏み跡も道しるべも極端に少ないため頻繁に地図とコンパスを照らし合わせる必要があるイメージ通りの山域でした。

今回の山行は「南アルプス・深南部 藪山賛歌-知られざるルート94選」著:永野敏夫 という書籍を参考に計画しました。

大無間書籍

一日目

朝日トンネル-熊平沢ノ頭-朝日岳-鹿ノ土俵場⛺

梅雨時期らしい雨に降られながら、本日の行動開始です。

人のほとんど入らない静かな深南部特有の雰囲気と打ち付ける雨音の大きさに、ワクワクと薄ら寒さを同時に覚えます。

朝日トンネルの向かって左側の斜面を上がっていき稜線に取り付きます。

大無間朝日トンネル前

雨に濡れた急な斜面を、踏み跡らしきものを追いながら時折キックステップも使いつつ登っていきます。

朝日岳へ向かう道中にヒルを何度も見ました。幸い血を吸われることはありませんでしたが、見かけるだけでげんなりする奴らです。

大無間朝日トンネルすぐの急登

しばらく歩くと林業用モノレールが現れ、それをたどりながら進んでいきます。

大無間レールのある登り

冷たい雨とガスの中、踏み跡とも獣道とも思える場所を読図をしながら進んでいくのは根気のいる作業です。

大無間読図をしながら進む

本日唯一の遠景を望める地点。明日登る大無間山は雲に隠れています。

大無間熊平沢ノ頭周辺より大無間方向を望む

一つ目のピーク熊平沢ノ頭を過ぎ朝日岳へのルートに乗ると一時明瞭な登山道となりますが、朝日岳の先はまたしても微かな踏み跡を辿ります。

大無間朝日岳お団子標識

ここにもあるお団子標識

レインウェアを着ていても湿度と激しい雨に降られて全身濡れてしまい、6月とは思えない寒さを感じながら先を急ぎます。

大無間寒さに震える

日向山のあたりから背の低い笹原が点在する様になり、踏み跡も明瞭で歩きやすくなります。

ここまでが大変だった分、登山道のありがたみが身にしみます。

大無間背の低い笹原を進む

合計九時間ほど歩いてテント適地の鹿ノ土俵場に到着です。

一つ先のピーク、コッパ沢ノ頭を越えた先にあるコルまで行く案もありましたが、ここで本日の行動終了としました。

大無間山鹿ノ土俵場到着

冷えた体を温めながら食事を取り、早めの就寝です。

これほど雨に降られる山行は久しぶりだったので、ギアの使い心地の確認も兼ねられて良い経験になりました。

KAYA使用レポアイキャッチ

クロスオーバードームKAYA

今回の山行で使用したヘリテイジ社のクロスオーバードームKAYAについて使用感等まとめたブログを別途作成していますので、よろしければご覧になって下さい。

二日目

鹿ノ土俵場-三方嶺-大無間山-風イラズ-寸又峡温泉

大無間二日目朝出発前

夜中雨がふっていましたがクロスオーバードームKAYAの室内が濡れることはほとんどなく、快適に寝ることができました。

明け方には雨も止み、遠くの山々まではっきり見えるくらいに晴れていてテンションがあがります。

のんびりと朝食を食べ6:30頃に出発。

大無間鹿ノ土俵場出発

シラビソとヒザ下の笹原でとにかくきれい。

大無間コッパ沢ノ頭手前

そして歩きやすいです。昨日のひどい雨のおかげで、景色の美しさは昨日の5倍増しで良く感じます。もちろん歩きやすさも5倍増しです!

大無間コッパ沢ノ頭

木漏れ日のなかを気持ちよく歩いてコッパ沢ノ頭に到着。

コッパ沢ノ頭から下ったコルの三方窪で水を汲みにいきます。

大無間三方窪

三方窪

コッパ沢方面へ緩やかに下っていくと、やがて水が汲めます。ちょっと時間はかかりますが、危険箇所はないので安心です。

大無間コッパ沢源頭水場

三方窪から往復で30分くらいでした。

コルからの上り初めは急登ですが、すぐに気持ち良い道になります。

大無間三方嶺手前風イラズを見る

ヒザ下の笹原が最高です。

大無間三方嶺手前歩きやすい笹の稜線

書籍「南アルプス・深南部」に「大無間山塊の魅力は西側にあるという」といった内容の記述があったのを思い出します。

鹿ノ土俵場~大無間山の区間は歩きやすくて景色も良く、今回の山行で一番気持ちよく歩けました。

大無間三方嶺

三方嶺は今回の山行で一番、眺望が良いポイントです。

大無間三方嶺西側崩落面を見る

三方嶺の西側は大きく崩れています。

大無間三方嶺より南アルプス中心部を望む

遠くに南アルプスの山々も見えます。

大無間大無間山手前気持ちいい上り

大無間山までも気持ち良い道がつづきます。このあたりはしっかりとした踏み跡もあり歩きやすかったです。

2人とも地図とコンパスはいつでも使えるように、身につけていました。マップケースに入れて携帯していたので、雨の日でも地図を濡らすことなく読図することができました。

大無間大無間山頂写真

大無間山に無事登頂。

大無間大無間山先歩きづらい

踏み跡もまばらになり、注意深く読図しながら進んでいきます。

大無間山からの下りは岩場や急斜面の下りが多く、なかなかペースは上がりません。

大無間前無間山崩落地

右奥に見える顕著なピークが風イラズです。

大無間風イラズ

遠くから見ると立派なピークに見える風イラズでしたが、実際に到着すると眺望はなく深南部らしい渋いピークでした。

大無間風イラズ下り

風イラズの下りは、岩稜混じりの急坂で慎重に下ります。

大無間黒枯山

アップダウンを繰り返して標識のあるピーク黒枯山に到着。

大無間山から風イラズへのルートは、深南部のなかでも訪れる人が少ないルートなのでファインディング力も重要です。

ルートを誤ってしまうと、余計な体力と時間を使うことになってしまいます。

大無間痩せ尾根

深南部は不整地を歩くことがとにかく多いので、ソールの固いハイカットシューズがおすすめです。

私はスカルパのリベレライトHDという登山靴を履いていきましたが(現行ではリベレHD)この選択は正解でした。雨でぬかるんだ急斜面でのキックステップや岩場でつま先で立ち込むことも、安心して行なうことができました。

大無間リベレ仮画像

「スカルパ リベレHD」 一般縦走から残雪期登山、岩稜などのテクニカルな登山まで対応する3シーズン・マウンテンブーツ。

足元に注意することはもちろん、標高はどんどん下がっていくのですが、細かなアップダウンが続くので意外と消耗します。

大無間終盤栗代山手前

尾栗峠に近づいてくると、だんだんと人里が近くなってきたことを感じます。

大無間杉林

杉の植林地

尾栗峠から栗代山までの最後の登りにかかる頃には、気温も上昇しており暑いくらいでした。

大無間栗代山登り

日陰になるので樹林帯でよかったです。

黙々と登り続けていたら、いきなりピークに到着しました。眺望、標識ともになく深南部らしいピークでした。

大無間栗代山三角点

栗代山に到着。

栗代山からはやっと下り基調になります。一部不明瞭な所はあれど今までと比べると道もしっかりしており、軽快に駆け下ることができました。

大無間栗代山下り

最後はカンカン照りの日差しの中、ロードを約4km走ってゴール!寸又峡温泉で汗を流して帰途につきました。

大無間最後のロード

今回は2人で読図をしながら歩いていたので、ミスにもすぐ気づくことができリカバリーも容易でした。1人だとより慎重になり行動スピードは落ちてしまうでしょうし、精神的にも大変になると思います。

つい写真を撮りたくなる、古い看板がいくつもありました。

そうはいっても、間違った尾根を下ってしまうことが数回ありました。漫然と歩いているとすぐに違うルートに迷い込みます。
目印のテープも所々にありますが、自分達の目的のルート以外にもテープはついているので、テープを頼りにして歩いていれば大丈夫!というわけでもありません。

常に正しいルートを確認しながら進む必要があり、なかなか大変でした。しかしそこが深南部の魅力でもあります。
自分の力で歩いているという実感が、山行後の充実感に繋がります。

静かな山が好きな人はもちろん、登山者として成長したい人にもおすすめなルートでした。

文責
一日目:横浜店 藤井
二日目:本店 西出