
信越トレイル3泊4日スルーハイク「East Bound」
はじめに
茹るような酷暑の7月中旬、信越トレイルを「East Bound」(=斑尾山から苗場山へ東に進むこと)でスルーハイクに行ってきました。
全線歩きにこだわり、長野県飯山線蓮(はちす)駅から新潟県越後湯沢駅まで3泊4日合計138km獲得標高8000mを歩き通しました。
信越トレイルとは
信越トレイルは、2008年に日本におけるロングトレイルの第一人者である加藤則芳氏らによって作られたロングトレイルです。
トレイルの中心の関田山脈はブナ林の卓越する日本有数の豪雪地帯で、信越五岳に数えられる斑尾山やバックカントリースキーで有名な鍋倉山を有します。
開通当時は約80kmでしたが、2021年秋に苗場山まで延伸されたため現在では約110kmのトレイルとなりました。
一日目 快晴のスタート
蓮駅-斑尾山-赤池-涌井-桂池テントサイト
仕事を終えた深夜24時、池袋にて夜行バスに乗り込み長野駅へ。
長野駅からは飯山線の始発5:10越後川口行きに乗車し、飯山駅の一つ手前の蓮駅にて下車して今回の山行がスタートしました。
駅からロードと登山道を約12km歩いて信越トレイルの起点、斑尾山の山頂に到着です。
この日は快晴で遠景が期待できる良い天気だったのですが、あいにく斑尾山の山頂は展望がなく疲労感が募ります。
サクサク下山し途中で水を補給しながら、一日目の宿泊地である桂池テントサイトを目指します。

日本百名山の妙高山が見えます
関田山脈は長野県と新潟県の県境にあり、かつて越後と信州の交流に使用された数多くの峠跡を見ることが出来ます。
初日から11時間近く歩いて桂池テントサイトに到着しました。
今回はヘリテイジ社のクロスオーバードーム2(2~3人用)を使用しました。
雨天が予想されたため、フロントフライとベンチレーターを覆うモスキートネットAFにて雨対策としました。
夜中から雨が降り始め浸水を心配しましたが、フロントフライにカバーされている箇所は問題なく、フライの無い箇所も裏側には浸水してきませんでした。
二日目 ブナと峠
桂池テントサイト-関田峠-伏野峠-野々海高原テントサイト
朝から降ったりやんだりの雨のなか歩いていきます。

晴雨兼用傘は大変便利でした(EVERNEW TrailShade)
時折見られる晴れ間や池塘、一時降りやむも再度降り始める雨、永遠にも思えるアップダウンなどに一喜一憂するうちに日は登りそして傾いていきました。

関田山脈のセクションはブナ林が広がり幻想的な雰囲気でした

「豪雪」の力を見せつけられました

歴史の跡を感じられる立派な峠から、獣道程度のものまで無数の峠を越えました
今までニセピークに騙される経験はありましたが、今回初めてニセ峠に騙される経験をしました。待ち望んだ峠かと思いきや、ただのギャップだったりして「まだかよ…」とがっかりすることが多々ありました。
暗くなり始める前の午後5時ごろようやくテント場に到着するも、いまだ降り続く雨に辟易とします。手短に夕飯を済ませて一日を終えました。
三日目 癒やしと灼熱のロード区間
野々海高原テントサイト-天水山-森宮野原駅-結東-小赤沢楽養館テントサイト

昨日は見えなかった深坂峠から新潟側の展望
前日に降り続いていた雨は止み、快晴の中を気持ちよく出発です。
爽やかな風が吹き抜ける、ブナの森を快調に歩いて天水山へ到着。こんなに暑い日が続いているのに、雪渓が残っている箇所があり驚きました。

天水山の下りからは、次に歩くコースが見渡せます
天水山からの下り道は歩きやすく、道の駅やコンビニがある補給ポイントがあるので自然とペースは上がり、あっという間に下れました。

道の駅で栄村名物のトマトジュースで栄養補給。美味しかったです!
コンビニでちょっと早いお昼ごはんを食べて、今晩の食料も補給。心も体も元気になりここから15km以上のロード区間に突入!

日を遮るものがまったくない

ここでも日傘が大活躍。夏の信越トレイルではマストアイテムだと思います
急傾斜の割に歩きやすい、つづら折りのあずき坂を下ります。かつては牛も通ったというのも納得の歩きやすさでした。

結東の集落
あずき坂を下ると結東に到着。ここで日帰り入浴の温泉に立ち寄る予定でしたが、まさかの休館日で温泉に入れず意気消沈。諦めて小赤沢へ向けて出発します。

道の駅で購入したキュウリで水分補給。新鮮野菜はウマイ!

秋山郷
途中にある風穴。穴は見つかりませんでしたが体感5℃くらいの冷風が常に出ており、周囲の環境と比べると異常に涼しく驚きました。
小赤沢まではロードと古道を歩きます。杉の植林や古い石垣などが見られ昔から人の手が入っていることがわかります。

小赤沢にある苗場神社

小赤沢のテントサイト
小赤沢温泉も定休日で入れず。温泉は下山までお預けとなりました。テントサイトはウッドチップが敷いてあり快適でした。

道の駅で購入したモロヘイヤ

栃材の茶碗は大赤沢にある「山源木工」で購入。
マウンテングルメラボの「プレミアムにごり梅酢」は水で薄めて、塩分とクエン酸を摂取することができます。また爽やかな風味を加える調味料としての使い方もおすすめです。茹でたてモロヘイヤとの相性も最高でした。梅の香りと絶妙な酸っぱさが体に染み渡りました。「プレミアムにごり梅酢」の詳細はこちら
四日目 高層湿原から念願の温泉へ
小赤沢楽養館テントサイト-苗場山-祓川登山口-越後湯沢駅
深夜にかなり強い雨が降っていましたが、幸い出発時には止んでくれました。
前半は見慣れたブナの森を歩いていきます。今までは標高1000m前後でしたが、苗場山は2200m。標高を上げていくと、ブナがなくなり針葉樹林へと変わっていきます。
雲が多いので今まで歩いてきた山々をみることは叶いませんでしたが、気温が低くて快適でした。
標高を上げていくといよいよ高山帯の雰囲気になり、爽快な気分になれます。低山も良いですが、やっぱり標高の高い山は気持ちいいです。
8合目からは気持ち良い湿原歩きが楽しめます。風が強く初めて寒さを感じたのででレインウェアを着ました。

雪渓も少しだけ残ってました
苗場山頂ヒュッテで休憩をしていよいよ山頂へ。スタッフの方も信越トレイルを歩いたことがあり(しかもあまとみトレイルと繋げて!)、喜びを分かち合うことができて嬉しかったです。チャイもごちそうさまでした!
ついに到着。信越トレイルは苗場山山頂で終了ですが、
我々のゴールは越後湯沢駅なのでもうひと頑張りです。昨晩の雨の影響で水が流れている登山道を慎重に下っていきます。

和田小屋
和田小屋までくれば一安心。あとはスキー場の舗装路下って走り、越後湯沢駅までロードを進みます。駅にタッチしてついにゴール!!やっと念願の温泉に入ることができました。
幸い今日の天気は曇りで、暑さに苦しめられることはありませんでした。晴れていたらこのロード区間は辛かったと思います。
おわりに
移動距離は1日目37.9km。2日目30.4km。3日目38.5km。4日目31.2kmでした。2日目の移動距離が1番短かったですが、ほとんどが山の中だったので一番辛かったです。やはりロードが多いと距離は簡単に稼げます。行動中の荷物は10kg程度で、日暮れ前にはテント場に着くことができました。毎日がすごく辛いわけではなく、かといって余裕があったわけではありません。3日目の朝など出発する前から体がかなり重かったですが、ちょうどいい疲労感で全工程を終えることができました。
今回はシュラフを持っていきましたが、ほとんど使うことはありませんでした。男2人でクロスオーバードーム2に寝ていたため就寝の際は暑いくらいで、結果的にシュラフカバーのみで十分でした。夏の信越トレイルは日傘や塩分補給などの暑さ対策が特に重要だと感じました。その他の使用装備に関するご質問等がありましたら、本店の西出か横浜店の藤井にお尋ねください。
途中で補給ポイントや町に下りることがあるのも、ロングトレイルの楽しみの1つ。温泉に入って、のんびり1日を過ごす日などを設けらればさらに充実したと思います。
本店 西出
横浜店 藤井